QUICK SAVE
- ページは正常なのに動画の四角だけ眩しい場合、SDR動画とHDRデスクトップの合成経路を疑う
- 今回の環境ではChromeのグラフィックアクセラレーションをオフにすると解消した
- Windows HDRとゲームのHDRは維持できるが、ChromeのCPU負荷や動画再生性能には影響しうる
YouTubeを開いた瞬間、動画の四角い部分だけが照明のように眩しくなる。ページの背景やメニュー、コメント欄はいつも通りなのに、再生画面の白い部分だけが飛んでしまう。
画面全体の明るさがおかしいなら、モニターやWindowsのHDR設定を疑えます。動画だけとなると、どこを触ればいいのか分かりにくい症状です。
今回、BenQ EX321UXとGeForce RTX 5090を使ったWindows 11環境では、Chromeの「グラフィック アクセラレーションが使用可能な場合は使用する」をオフにして再起動すると、異常な明るさが解消しました。 Windows HDRやゲーム側のHDRを切る必要はありませんでした。
ただし、これはHDR表示で起きるすべての眩しさに共通する解決策ではありません。今回確認できた条件と、同じ設定を試す前に見ておきたいポイントを順に整理します。
動画はSDRなのに、動画部分だけHDRのように明るかった
症状が出た環境は次のとおりです。
| 項目 | 環境 |
|---|---|
| ディスプレイ | BenQ EX321UX |
| GPU | NVIDIA GeForce RTX 5090 |
| ブラウザ | Google Chrome |
| OS | Windows 11 |
| Windows HDR | オン |
| 自動HDR | オン |
再生していたYouTube動画は、8-bit SDRのVP9動画でした。YouTubeではHDR動画の場合、画質メニューの解像度に「HDR」と表示されます。YouTube公式ヘルプにも、HDR動画では「1080p HDR」のような表示が付くと説明されています。今回はその表示がなく、元動画そのものはHDRではありません。
一方、WindowsからEX321UXへの出力は、PQ・Rec.2020のHDRです。つまり、SDR動画をHDRデスクトップの一部として表示する構成でした。
ここで気になったのが、ページ全体ではなく動画領域だけが変わっていたことです。Windowsの「HDRコンテンツの明るさ」調整がずれているなら、通常はほかのSDRアプリやページ部分にも影響が出ます。Microsoftも、外部HDRディスプレイのSDR/HDR明るさ調整はSDRコンテンツ全体の相対的な明るさを変えるものと案内しています。
今回のように一つの動画レイヤーだけが白飛びするなら、モニター全体の明るさを下げる前に、ブラウザの動画処理を切り分けた方がよさそうでした。
先に外したのは、WindowsとNVIDIAの映像補正
SDR動画がHDRらしく変換されているなら、最初に思い浮かぶのはNVIDIA Appの「RTX Video HDR」です。この機能は、SDR動画をHDRへ変換し、Chromeなどの対応アプリで表示するものです。NVIDIAの説明でも、SDR動画をHDR動画へ変換する機能として案内されています。
しかし、今回のRTX Video HDRはオフでした。Windowsの「自動的にビデオを処理して拡張する」もオフで、YouTubeの動画要素にも明るさを変えるCSSフィルターは見当たりませんでした。
確認した内容をまとめると、次の状態です。
- YouTubeの動画はHDRではなく、8-bit SDRのVP9
- NVIDIA AppのRTX Video HDRはオフ
- Windowsの動画補正もオフ
- Windows HDRと自動HDRは有効
- YouTubeのページ部分は正常
- SDRコンテンツ全体の明るさを変えても、症状の説明がつかない
残ったのが、ChromeがGPUで動画をデコード・描画し、そのレイヤーをWindowsのHDRデスクトップへ重ねるまでの経路でした。
Chromeのグラフィックアクセラレーションをオフにする
変更したのはChromeの設定一つです。
- Chrome右上の「︙」を開く
- 「設定」を選ぶ
- 左側の「システム」を開く
- 「グラフィック アクセラレーションが使用可能な場合は使用する」をオフにする
- 表示される「再起動」を押す
設定画面を探しにくい場合は、アドレスバーへ chrome://settings/system と入力して直接開けます。
再起動後に同じ動画を再生すると、動画部分だけが異常に明るくなる現象は出なくなりました。Googleも、ChromeとPCのハードウェアの組み合わせで表示上の問題が起きる場合の対処として、ハードウェアアクセラレーションをオフにしてChromeを再起動する手順を案内しています。
なぜ直ったのかは、描画経路が変わったと考えるのが自然
グラフィックアクセラレーションが有効なChromeは、利用できる処理をGPUへ任せます。動画ではデコードや描画もその対象になります。
今回の条件では、GPUで処理されたSDRの動画レイヤーを、WindowsのHDRデスクトップへ合成する途中で、輝度変換またはトーンマッピングが意図しない状態になっていた可能性があります。アクセラレーションを止めたことでChrome側の描画経路が変わり、その状態を回避できた、と見るのが自然です。
ただし、ここは症状と設定変更からの推測です。Chrome、NVIDIAドライバー、Windowsのどこで変換が崩れたのかまでは特定できていません。特定バージョンの不具合だった場合、ChromeやGPUドライバーの更新で直ることも考えられます。
HDRゲームはそのまま使える
Chromeの設定を変えても、Windowsの「HDRを使用する」や「自動HDR」はオフになりません。ゲーム側のHDR設定も別です。
今回の対処後も、次の設定は維持できました。
- Windows HDR:オン
- 自動HDR:オン
- HDR対応ゲーム:HDRのまま
- Chrome:グラフィックアクセラレーションをオフ
注意したいのは、変更の影響がYouTubeだけに限定されるわけではないことです。Chrome全体でGPUを使う処理が変わるため、高解像度・高フレームレート動画ではCPU使用率が増えたり、再生が滑らかでなくなったりする可能性があります。
眩しさが直ったあとは、タスクマネージャーを開きながら普段見る4K動画を再生して、CPU使用率やコマ落ちを確認しておくと安心です。負荷が大きすぎる場合は、ChromeとNVIDIAドライバーを更新したうえで設定をオンへ戻し、症状が再現するかを確かめる余地があります。
同じ症状でも、画面全体が眩しいなら先に別の設定を見る
この方法が向いているのは、Chromeの動画部分だけが異常に明るい場合です。
デスクトップ、ほかのアプリ、YouTubeのメニューまでまとめて眩しいなら、先にWindowsの「HDRコンテンツの明るさ」を確認します。MicrosoftのHDR設定ガイドでは、外部HDRディスプレイに表示するSDRコンテンツとHDRコンテンツの明るさのバランスを調整できます。
YouTubeの画質メニューに「HDR」と出ている動画だけが眩しい場合は、動画が本来持っているピーク輝度やモニターのHDRモードも確認対象です。RTX Video HDRがオンなら、一度オフにしてSDR動画への変換が止まるかも見ます。
症状の範囲を見分けると、モニターのHDRを丸ごと諦めずに済みます。ページは正常で動画の四角だけが白飛びするなら、Chromeのグラフィックアクセラレーションは試す価値のある切り分けです。ゲームのHDRを残したまま変更でき、合わなければ同じ場所ですぐ元へ戻せます。